化粧水学会発表要旨

学会名
第30回 日本東洋医学会 東海支部学術講演会
開催日時
平成12年11月19日
開催場所
名古屋大学医学部 鶴友会館
発表者
Dr.Yoshida(名古屋)

発表内容

緒言

アトピー皮膚炎の患者さんの中には症状が治まっても皮膚が敏感で、「化粧品が使えない」という悩みがある。今回このような患者さんの皮膚を対象に保湿効果の高い 当帰、地黄、紫根、ヨクイニン、黄柏(画像付詳細)などの植物エキスを入れた化粧水(潤肌水と略す)が作成されたので、この有用性について検討した。

方法

当クリニック受診中のアトピー皮膚炎で皮膚が改善傾向にある患者61名に毎日朝夕の2回潤肌水を使用してもらい、2週間後にその効果をアンケート調査した。全例使用前後の治療薬剤は変えていない。

結 果

※詳細は下記臨床試験(グラフデータ)参照

対象は化粧水のため61名中女性が60名(平均27歳)であった。肌質タイプは普通が4名、乾性が25名、脂性が3名、混合型が17名、敏感型が21名(重複回答あり)であった。 使用感は良いが54名、べたつくが3名、物足りないが2名であった。 その他刺激の有無、保湿感、他化粧品との比較などを聞いたが70%近くの良いという答えを得た。最終評価は良いが31名、普通が20名、不明が5名、悪いと答えたのは1名だけであった。

考察

アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥しやすく、改善してお化粧品が使えない悩みがある。 今回の化粧水は保湿性が高く、他の化粧品と比べても良い結果を得た。

総括

アトピーの治療には漢方薬治療でも難しい、しかし漢方薬の治療法には皮膚に直接作用させる外治療法がある。漢方薬入りの入浴剤・石鹸の効果を以前報告した。 今回は化粧水の効果を検討し、これらの外治療法を併用することにより治療効果を高めることができると思われた。

化粧水臨床試験

被験者プロフィール

61名(女性60名、男性 1名)

平均年齢 27歳(7-59歳)

アレルギー所持者80%。

括弧内の数字は回答数、皮膚疾患の”キズ”は痒みによる引っ掻き傷

皮膚疾患

皮膚疾患

肌質タイプ

肌質タイプ

使用感

使用感

刺激の有無

刺激の有無

被験者による評価

保湿感

保湿感

他化粧品との比較

他化粧品との比較

評価総括

評価総括

特記事項

  • 重症アトピー患者のうち、ホルモン療法等による初期治療が完了した患者に対して2週間使ってもらった。
  • 被験者の多くは、「化粧品が使えない」という悩みを持っている。
  • 臨床試験としては困難な対象者でありながら結果は非常に良好であった。 完治後又は一般健常者でのニーズ、評価も高いと思われる。